呼びかけに応えて
2020年11月8日 降誕前第7主日
(神の民の選び・アブラハム)
創世記第13章1-18節
牧師 木谷 誠
先週の主日のテーマは「堕落」でした。しかし、神様の救いの後の計画は、そこで終わりません。続きがあります。罪を犯し、背いた人間に対して、神様は変わらず恵み深いのです。
神様はアブラム(後のアブラハム)に呼びかけ、旅立ちを命じます。それは行く先の分からない旅でした。しかし、アブラムは、神様の約束の言葉を信じて七十歳という高齢にもかかわらず、生まれ故郷を捨てて旅立ちます。この信仰の故に彼はイスラエル民族の「父」と呼ばれるのです。
しかし、アブラムも決して完璧な人間ではありません。旅の途中、エジプトでは、妻サラを妹と嘘をついて、エジプト王に取られてしまいそうになりました。圧倒的なエジプト王の権力を見て、不安になり、神様の守りを信じることがでなかったのです。そして自分の知恵に頼ったのでした。その時は、サラを憐んでくださった神様の恵みで危ないところを救われました。
今日の物語はその続きです。旅を続ける中で、アブラムと甥のロトは、共にいることが難しくなりました。お互いの財産が多すぎて、家畜を維持するために十分な水を用意することが難しくなったのです。そこでアブラムは、ロトと相談して、それぞれ別々に住むこととしました。叔父であり、年上であるアブラムが自分の住むところを先に選んでも良かったのでしょう。しかし、アブラムは甥のロトに選ぶ権利を譲りました。自分よりも愛するロトのことを思いやったのでした。そしてそれが神様の喜ばれることと信じたのです。そして自分たちのことは、神様が必ず守ってくださると信じたのです。以前にエジプトで行ってしまった様な過ちを今度はすることはありませんでした。人間の知恵ではなく、神様のお守りを信じたのです。
ロトは「目を上げて」豊かな土地を選びました。目を上げた時、何が見えるか、それはその人が何を大切にしているかということを意味しています。アブラムは「目を上げて」神様の約束、神様のお守りを見ました。ロトは自分の財産を守ることしか見えませんでした。そしてロトは豊かな土地を選びました。しかし、それは悪事を働く人がたくさん住む町だったのです。アブラムは豊かな土地はロトに譲り、神様の約束だけを信じて、カナンの地に入りました。そのようなアブラムに対して、神様は東西南北、見渡す限りの土地を与え、子孫を増し加えるという祝福を与えました。神様は豊かな土地を与えるだけでなく、すでに老人で、子どものいないアブラムにたくさんの子孫を与えると約束されました。神様は、約束を破ることはありません。人間の信頼を裏切ることはありません。それどころか、神様を信じるものに対して、人間の想像を超える大きな恵みをくださる方なのです。
そんな神様の祝福に対して、アブラムは礼拝をささげて応えました。神様の恵み、神様の祝福に対する最も良い応えは礼拝です。神様は、人間を愛しており、神様に応え、神様との交わりを生きる存在として造られました。それゆえに神様は礼拝という形でなされる人間からの応答を喜ばれます。これはいつの時代も変わりません。
私たちにも神様は祝福を約束してくださっています。この祝福の約束を信じて、歩んで参りましょう。神様はそんな私たちの信頼に対して「倍返し」以上の恵みで応えてくださいます。
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