呼びかけに応えて
2021年1月17日 降誕節第4主日(最初の弟子たち)
マタイによる福音書第4章18-25節
牧師 木谷 誠
私たち、それぞれに教会に来るようになったのには、いろんな機会があったことでしょう。学校がキリスト教系の学校だった。家族で昔から教会に通っていた。たまたま教会の前を通ったら、賛美歌が聞こえてきた。友達に誘われて行ってみようと思った。興味深かったのは、メンソレータムを買ったら教会の案内があって行ってみたというお話を伺いました。確かにあの会社は当時クリスチャンの会社でした。私の父は、賀川豊彦先生が、集会に来られて、そのお話に感動し、決心カードを書いたら、その後、教会から案内が来て行き始めたということでした。そのようにそれぞれに教会に来るようになった理由はあります。どれも皆とても尊いと思います。
しかし、その一方で覚えなければならないことは、私たちが教会に来る前に、神様が私たちのことを選んで、教会に招いてくださったということです。私たちが教会を知る前から、神様は私たち一人一人のことをご存知で教会に招いてくださったということです。私たちではなく、神様が先なのです。神様の恵みが私たちの行動の前に働いているのです。
今日の福音書はそのことを伝えています。ペトロ、アンデレ、ヤコブ、ヨハネがイエスを見つけて、イエスと出会って、弟子になったのではありません。彼らはイエスのことを知りませんでした。イエスが、彼らを見つけて、出会って、弟子に招いてくださったのです。イエスの呼びかけが彼らの応答よりも先なのです。
この招きに彼らは喜んですぐに従いました。仕事も家族も捨てて従いました。これを読みますと、「すごいなあ、私にはできない」と思われるかもしれません。イエスの呼びかけにはとても魅力があったのでしょう。それともう一つ、イエス・キリストは、それができる人だから、声をかけたのです。仕事も家族も置いて行くことが可能な人だとわかっていたから、ペトロ達に声をかけたのです。イエス・キリストの目は確かです。できそうもない人にできそうもないことを命じたりはしません。できるとわかっておられたから声をかけたのです。そしてイエスは声をかけた後も責任を持って関わってくださいます。イエスは彼らを「人間を取る漁師」にしてくださいます。これまでは、漁師として、魚を相手にしていた彼らが、人間を相手にする仕事を始めるようになるということです。光栄と喜びに溢れた新しい世界、神の国のつとめにイエスは招いてくださるのです。
イエスは四人と共に神の国のつとめを始めました。それは神の国について教え、神の国について広く伝え、人々の病や悩みを癒す働きです。神の国とは、神様の支配、神様との愛の交わりの生活のことです。イエスを通して、神様の愛を知り、喜び溢れる経験をいただく中で、日々の悩み、苦しみが癒されていったのです。新しく生きる喜び、生きる勇気をいただくことができたのです。
新しい年、私たちもイエスの神の国の教えから豊かな喜び、神様から愛されている喜びをいただいて、励まされ、強められたいと思います。そしてこの愛に応えて、私たちも神の国、神様との愛の交わりの生活の素晴らしさを伝える者として歩んで参りたいと思います。
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